力は出すのではなく、いかに出さないか ― 内なる力が自然と湧き起こる深層筋トレーニング
- kosakawataru6
- 4月5日
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力は出すのではなく、いかに出さないか ― 内なる力が自然と湧き起こる深層筋トレーニング
現代のトレーニングは、「どれだけ力を出せるか」「どれだけ重いものに耐えられるか」といった“出力”に重きを置く傾向があります。
その結果、「筋力をつけること=健康」という価値観が広く定着しました。
たとえば、「ベンチプレスで何キロ挙げられるか」といった数字を基準に、自分の体を評価する人も増えています。
けれど私は、「力を出すこと」よりも「いかに出さないか」にこそ、本質があると感じています。
東洋的な「心身一如」の視点から見ると、常に力を出そうとすることで、体には無意識の緊張が生まれます。
そしてその緊張が、むしろ不調や疲れやすさを引き起こす原因になっているのです。
たとえば欧米では、鍛え上げた体が“成功”や“自己管理能力”の象徴とされ、社会的なステータスとも結びついています。
その価値観はグローバリズムの波とともに日本にも浸透し、「筋肉=証明」とする風潮を生み出しました。
けれど、日本には本来、目に見える力よりも「内側に秘められた力」に価値を置く文化があります。
武道や芸道に見られるように、最小限で美しく、無駄なく動くかを重んじる、独自の身体文化です。
「力を出すこと」が前提になったトレーニングは、身体の使い方にも影響を与えます。
そのひとつが、呼吸の浅さです。
力を入れることに慣れると、胸や肩に緊張が入り、腹での呼吸ができなくなっていきます。
呼吸は浅くなり、交感神経が優位となり自律神経も乱れます。
そして、心の芯がぶれ、生命燃焼の軸が、少しずつ遠のいていきます。
また、アウターマッスル優位の身体の使い方となり、本来姿勢や呼吸を支えるインナーマッスルが働かなくなります。
それが、慢性的な肩こりや腰痛、疲れやすさ、姿勢の崩れなどの不調につながっていきます。
トレーニングや整体、健康情報がこれだけ増えているのに、不調は減っていない。
それは、「体」だけにフォーカスしすぎて、「心身のつながり」が見落とされているからかもしれません。
私自身、呼吸やインナーマッスル(深層筋)の使い方を専門的に指導していますが現場ではよく、こう声をかけています。
「がんばろうとしないでください」「疲れないように動いてください」
これは、ただ優しさで言っているのではなく、“動いても疲れない体”を育てるための指導です。
がんばる意識が強いほど、体は固まり、呼吸は止まり、余計な力みが生まれてしまうからです。
実際、多くの方がシンプルな動きでも全力で力を出そうとします。
それは、自分で自分を疲れさせる体の使い方になってしまっているのです。
では、どうすれば良いのか?
その答えは、特別なトレーニングではなく、日常の中にもあります。
私は「日常を丁寧に生きること」こそが、心と体の一致を育てる確かな方法だと考えています。
丁寧に歩く。丁寧に座る。丁寧に呼吸する。
それだけで、余計な力みは自然と抜けていきます。
こうした丁寧な動きこそが、インナーマッスル(深層筋)を目覚めさせる鍵になります。
かつての日本では、所作や礼儀が生活に根付き、自然とそうした体の使い方が培われていました。
インナーマッスルは、体の深部にある“支え”であり、同時に私はこれを肉体の中における生命燃焼の源だと感じています。
だからこそ私は、「力を出すのではなく、いかに出さないか」という視点を通して、生命燃焼を軸とした健康を提唱していきたい。
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